レストランで一番楽しい時間って、どのタイミングでしょう。
私は絶対、メニューを見て何を食べようか迷う瞬間だと思っています。
メインは鴨のコンフィだから前菜は魚系で鱈とイカのフリットにしようとか、メインはオマールの白ワイン&バターソースだから前菜はあっさりと野菜料理にしようとか、Tボーンステーキをガッツリいきたいから前菜は海老のサラダ・ヴィネガーソースのみにして・・・とか、美味しい料理の妄想で頭がいつもの3倍くらいに膨らんでいるはずです。
フレンチやイタリアンはとにかく食事に時間がかかるといいますが、たしかに料理ひとつ決めるのも、アペリティフを飲みながら(アペリティフの楽しみはこちらページを)あれでもないこれでもないとメニューを睨み、メートル・ドテル(支配人)と話をしながら、今から食べる「作品=料理」をゆっくりたっぷり時間をかけて決めるのですから、そりゃあ時間もかかります。けれど、これはレストランを満喫する一つの楽しみなのです。
そもそも日本人はせっかちですし、ここで時間を取ってはいけないと思っている節もあります。でもけっして焦る必要はありません。
また、ホストの立場であれば、メニューセレクトはゲストの好み(注文)を聞いたり察したりしながら自分の料理を決めたいもの。ゲストが気を使ってお任せでということもありますので、それは素直にそのまま引き取りましょう。料理セレクトの手間を省くのもある意味気使い。そのときは迷わずお店お任せのコースを利用する、もしくは、ホストのおすすめ料理を提案するのもゲストにはうれしいものです。

 

基本は『前菜1品+主菜1品』

格式のあるレストランではメニューの書き方や料理の注文方式がある程度決まっています。
メニューには、まず「前菜」もしくは「温かい前菜」「冷たい前菜」というコーナーがあり、次に「主菜」もしくは「魚の主菜」「肉の主菜」というコーナーがきます。それぞれのコーナーにその日のお勧めや季節の料理、またはそれぞれの定番料理が並びます。注文の基本は『前菜から一品+主菜から一品』です。要はメインディッシュを決めるのがなによりまず重要ということ。今日は鴨にするのか仔羊にするのかそれとも魚料理にするのか。そのお店ならではのスペシャリテ(特別な定番人気料理)があるならば、迷わずそれにトライということもあります。そのうえで、主菜だけでは足りないし、また飽きてしまうので、その前になにか違う軽めの料理を食べます。こういう発想から注文の基本は『前菜一品+主菜一品』となるわけです。

日本人が慣れている日本式の食事は、小さな料理があれこれたくさん並ぶスタイルですが、欧米の食事はメインをたっぷりととります。それにプラス野菜やスープ、軽いおつまみを添えるというスタイル。
とはいえ、これではボリュームがありすぎるとか飽きるとか、懐石料理・会席料理のようにあれこれ食べたいという日本人の希望に答えて、少量の料理を少量盛って、たくさん皿を並べる(順番に出す)欧米料理も存在します。また最近は世界的にこのスタイルが多くなってきているのも事実です。きっとクールでファッショナブルなジャパニーズ・キュイジーヌの影響でしょう。

しかし、本来欧米料理の本質はしっかり作りこまれた主菜をたっぷりと堪能することにあります。一皿のバランスがシェフの作り上げた作品として完成されたもので、それを見て食べて堪能してこそ作品を満喫したことになります。「あなたはその料理、私はこの料理、そちらはじゃぁ、こっちね。あとでみんなで分けよう」というのは本来マナー違反です。
とはいっても、気の利いたレストランでは、あれこれ食べたいというお客様にもきちんと対応してくれます。前もって取り分けて盛って出してくれますので、テーブル上で大きなお皿をお客様同士が交換したりせずともすみます。通常の一皿が食べられないという場合には小盛りにしてもらいましょう。外国でこれらをお願いしたときはぜひチップを。

 

 

プリフィックスもお勧め

ちなみに料理メニュー、ゲストの方には金額が書かれていない場合があります。料金を気にせずご注文くださいの配慮です。ホスト側のメニューには金額が書かれていますので、ゲストの「これにしようか、あ、いや、こっちもいいな」などという迷いにドキドキしてしまうかもしれませんね。
不安になりたくないとか予算に限りあがるときは、やはり料理は前もって決めておきましょう。決めた料理金額のなかで数種の料理を選んでいただけるように準備してもらうのもいいです。たとえばコースで1万円として、前菜2~3種、主菜2~3種を当日ゲストに決めてもらう。お店はすべてが金額内で収まるような食材、量、料理法で準備をしてくれます。すでにこのスタイルでメニューに記載されていることもあります。プリフィックス(固定料金)という方式で、コースで金額が決まっていますが、料理を変えることができるというもの。フランスのお手頃レストランはこの方式のところがとても多いです。ちなみに前菜と主菜が決まっているものを日本ではコース料理といいますが、フランスではMENU(ムニュ)といいます。おもしろいですね。

 

もうひとつ、面白ネタ。

もし恋人同士で食事をするなら、彼と彼女は同じ料理を食べましょう。違う料理だと味わいの共有ができませんから。同じものを食べてこそ話に弾みも深みも加わるのです。

 

 

 

今回はアペリティフを飲みながら料理を選ぶまでをご紹介しました。
料理を決めた後するべきことは、そう、ワインの決定です。

 

 

 

 

 

 

 

 

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2016年2月10日
友田晶子 Akiko Toimoda
ソムリエ/
トータル飲料コンサルタント
(ワイン・日本酒・焼酎・ビール・カクテルなどお酒と食に関する専門家)

米どころ酒どころ福井県に生まれる。
現在、業界20年以上のキャリアと女性らしい感性を活かし、酒と食に関する一般向けセミナー、イベントの企画・開催、輸入業者や酒販店・料飲店・ホテル旅館などプロ向けコンサルティングを行っている。 A native of Fukui Prefecture, Tomoda is a "Total Alcoholic Beverage Consultant and qualified Sommelier, Sake Sommelier, Shochu Advisor, Wine Advisor, Bergen Beer Technical Advisor and Cheese Professional. In 1990, she set up her own company, Alcoholic Beverage Consulting Co., Ltd. A sought-after presenter on the lecture circuit, Tomoda acts as a consultant for importers retailers, hotels, Japanese inns and establishments that serve alcoholic beverages. She is also a popular essayist.