おもてなしも終盤に入り、そろそろ締めとなりました。
おもてなしの締めといえば、やっぱりスィーツでしょう。お集まりの目的、季節、料理、お客様の好み・・・などを考慮したオリジナリティあふれるスィーツや、注目度の高いトレンドスィーツを用意するなど、ここは腕の見せ所です
ここでちょっとお勉強。
食事の後に食べるデザート。デザートはなぜ食後に食べるのでしょうか。
答えは、実はそんな決まりはない、です。
そう、デザート、つまり甘いものは、食事の前であっても途中でも最後でも、いつ食べてもいっこうにかまわないのです。
甘いものが好きな人には朗報かもしれませんね。
でも、ちょっと待って。お腹がすいているときに甘いものを食べると、糖分は吸収が早いのですぐに満腹になってしまいます。甘いものだけでお腹がいっぱいになってしまい、それ以外の食べ物が食べられなくなります。これでは栄養のバランスが悪くなり、ひいては体調を崩すことにつながってしまいます。デザートは糖分のほかに脂肪分も含むことが多く、他の栄養素はとても少ないのです。デザートを思いっきりお腹いっぱい食べるなんて言うのは、子供のころからのあこがれかもしれませんが、やはり、通常の食事をバランスよくとってから、最後の締めとして適量の甘いものを食べるのが一番体にいいのです。それに、チョコレート類は満腹の時にちょっと食べると濃厚さがとても心地よく感じられます。また、みずみずしい果物は、塩辛い食事や脂分のある食事の後には、口を洗い流しでくれ、おいしいうえに気持ちよさもプラスされます。食後に食べるからこそおいしいデザートもたくさんありますよね。
チーズもデザート?
フランス料理では、デザートは甘いものだけではありません。チーズもデザートのタイミングで出されます。
日本でチーズといえば、サラミやクラッカーと一緒に出てくる薄切りのプロセスチーズやスモークチーズにカッテージチーズなど、おつまみとして食事の前半に出てくることが多いように思います。フランスでは、前菜、主菜を終えたら、甘いものしますか? それともチーズにしますか?と聞かれます。甘いものが好きではない人、または、今日はチーズの気分、などというときには、すかさずチーズを選択するわけです。数種類の盛り合わせのこともあれば、その季節ならではの旬のチーズが出されることもあります。フランスをはじめとした欧州では、魅惑的な伝統ナチュラルチーズが星の数ほど存在します。華やかなデザート同様、チーズも食後を飾る大切な一品になるのです。また、発酵食品であるチーズは、消化を助けてくれるともいわれます。ちょっと食べすぎたなどというときに、ほんの一口を消化剤代わりにゆっくり楽しむのもいいかもしれません。
日本でもお客様をお呼びするならば、スィーツのほかに、季節のチーズを用意するのも素敵ですね。カマンベール・ド・ノルマンディは、年中買える定番の白カビナチュラルチーズですし、旨味凝縮のコンテチーズは、ワインが残っているときなど最適のおつまみナチュラルチーズになります。濃厚なヨーグルトのようなフロマージュ・ブランには、カシスのジャムやオレンジマーマレード、マンゴーのピュレなどを添えて、夏向きチーズ・デザートとしてお出しするのもおすすめです。
チーズをセレクトしたらスィーツは食べちゃダメなのでしょうか・・・・。
いえいえ、チーズの後に甘いものももちろんOK。意外かもしれませんが、欲張りなお客様は、実のところ、おもてなし側をことのほか喜ばせるものです。お呼ばれしたとき、チーズもスィーツもあるならば、両方ともいただいちゃいましょう。
量は食べられないけど、ちょっとずつ試したいというお客様のためには、プティフール(一口サイズの小菓子)と小さくカットしたチーズを大皿に盛るのはいかがでしょう。さまざまなタイプの小さなお菓子と様々なタイプのチーズを彩り鮮やかに盛り付けたお皿(大きなプレートを利用するのも手です)は、食事の最後を華やかに盛り上げてくれまず。あれもこれも試してみたいお客様にはうってつけの提供方法ですよ。