〜友田晶子の“新”ラク学講座〜

サミット首脳陣、アワビを食べても「(政治的)片思い」にはなりませんように

2016.05.09

 

『伊勢の海人 朝な夕なに 潜つぐ 鮑の片思いにして』

万葉集、詠み人知らずの和歌です。ハマグリなどの二枚貝と違い片方にしか貝殻がついていないので片思い(片重い?)と例えられるのがアワビ。万葉の昔から食されてきたことが分かります。片思いはつらいものですが、アワビのように極上の貝ならそれも許せてしまいます。はい、何を隠そう私の最も好きなものなのです。高価なのでまさに心はいつも片思いです。

都道府県データランキングによるとアワビの漁獲高全国1位は岩手県、次いで2位が千葉県。ぐっと差があって宮城、長崎と続きます。伊勢志摩のある三重県は全国9位。ただし、三重産のアワビは品質は格別にいいともされているようです。

 

アワビにはいくつか種類があります。まずは「クロアワビ」。私が最も好きなアワビはこれ。あ、どうでもいいですね。名前の通り黒っぽい色で肉厚。伊勢神宮へ奉納されるのはこのクロアワビの中でも極上もので「御貝」と呼ばれるそう。まざに「The アワビ」ですね。「メガイ(メカイ)」もあります。これはオスの「クロ」に対しての呼び名のようです。実はやや細めで赤っぽい色をしています。さらに厚みのある「マダカ」。千葉では超高級品です。北海道をはじめとした寒い海でとれるのが「エゾアワビ」です。これらは日本を中心としたアジア諸国の沿岸に生息しているアワビですが、実は世界中に100種類ものアワビの仲間がいるのだとか。回転寿司などで見かけるお手頃アワビは、国産ではないことが多いようです。

 

養殖と天然、みればすぐわかるその違い

「クロ」「メカイ」「マダカ」の旬は夏、「エゾ」は冬といわれています。伊勢海老と違ってアワビは養殖もされています。でも、見た目で養殖か天然かはすぐわかります。養殖は貝殻がつるっとしていてきれいです。天然はごつごつしていてほかの貝などが付着していることがあり海藻がたくさん生えています。長いこと海底にいたものほどほかの貝やら海藻がたっぷりもさもさと着いています。味わいはかなり差があるように思います。天然は、噛めば噛むほど昆布の味がしますからね。

伊勢志摩とアワビの関わりといえば「熨斗鮑」でしょう。一般にお祝い事や贈答の際に品物に添える飾りのことを「熨斗(のし)」といいますが、本来は、長寿の意味を持つ縁起物のアワビを細長く切り乾燥させたものを使用しました。なかでも鳥羽国崎産のアワビは伊勢神宮の神事における奉納物に添えられておりこれが「熨斗」の始まりになったともいわれています。今も活躍する海女さんが獲った大ぶりの極上天然鮑だから始まったことなのかもしれませんね。

また、今回サミットの会場ともなる志摩観光ホテルの代名詞ともいえるのが「アワビのステーキ」ですね。昭和30年からのスペシャリテです。シンプルながらも濃厚な旨味が・・・・、って、私まだ食べたことがありません。ああ、これもまた、片思い・・・。考えてみれば、アワビっていろんな食べ方ができる食材です。ステーキ、バター焼き、炭火焼、酒蒸し、水貝、中国風干しアワビのステーキ、天ぷら(札幌のお寿司屋さんで食べた拍子切りのアワビの天ぷらは最高でした)、炊き込みご飯、などなどがあげられます。が、私が一番好きなのは「お造り」です。硬いとか食べにくいとか旨味が感じられないとか言われますが、いいえいいえ、このむっちりコリっとした歯ごたえはアワビならではですし、一見淡いけど実は深い旨味が奥に潜んでいてそれがなんともたまらないのです。サミット参加の首脳たちは、そうだなぁ、きっとステーキなんでしょうねぁ、志摩観のステーキならいいだろうなぁ、でもお造りもおいしいんだけどなぁ、ああ、まだまだアワビへの片思いは続きそうです。

 

 

 

 

写真は資生堂ロオジェの「クロアワビのポシェ」(前菜)です♪

 

 

 

 

 

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