さて、ここまで、フルコースを楽しむイメージでシュミレーションをしてきました。
スイーツまで説明をしてきましたが、ここで、忘れてならないのが食後酒です。
“作品”としてのスイーツをしっかり堪能した後は、一杯の食後酒が必要になります。
食後酒としてのお酒のポイントはふたつ。
アルコールが高いお酒
甘いお酒
これです。
アルコールが高いとすれば、まずは蒸留酒です。
エレガントなコニャック、野趣あふれるアルマニャック、リンゴの繊細さが生きるカルヴァドス、個性派のマールやグラッパ(ワインの搾りかすから生まれるブランデーでお手頃なものから超高価なものまである)などブランデー類が知られています。また、甘く芳醇に香るラム酒、とくに樽熟の長いタイプや、植物的な香りが刺激的なテキーラ(こちらも食後なら樽熟タイプがお勧め)などもOKです。
ウイスキーももちろん代表的な食後酒。とくにここ数年クレイジーな市場価格になっている熟成年数入りのジャパニーズウイスキーなどは、接待にもばっちり向いています。ウイスキーは銘柄で好みが分かれますから、ゲストの好みの銘柄を前もって用意しておいてもらうのも実に洒落たおもてなしです。
ジュニパーベリーの香りが特徴のジンや白樺の炭で濾過するウォトカは、蒸留酒ですがカクテルとして飲むことの多いお酒です。食前と食後に向いたカクテルは、別にコラムを設けます。
意外かもしれませんが、本格焼酎も食後酒です。ハナタレ(蒸留の最初に出てくる高アルコール部分のみを集めたもの)みたいな濃厚なタイプや樽熟タイプなどはぴったりです。デザートの後に出てくる、小さなお菓子=プティフールとともに本格焼酎なんて、クールジャパンを地でいくカッコよさだと思います。
デザートもチーズも食べない紳士には、一杯のヴィンテージ・ポートを
甘いお酒ならば、まずはポートワインです。
チーズ(とくにブルーチーズ)やスイーツとも相性がいいですが、グラスのポートワイン一杯をデザートとしてゆっくり楽しむなどもとても素敵です。チーズも甘いものもいらないという方には、「デザート代わりにポートワインはいかがですか」などと言いながら、ヴィンテージ・ポートを一杯お薦めするなんてかなりイケています。
食後には甘めのカクテルも向いています。これも別途ご紹介しましょう。
ただしカクテルベースになる、たとえばこのカルーアのようなコーヒーリキュールも食後に向きます。同様に紅茶のリキュール、ナッツのリキュールなどもとてもおすすめです。さらに様々なハーブやスパイスをブレンドしたリキュール、たとえば、シャルトリューズなどは間違いない通好みのオシャレ度高しのセレクトです。
食後酒はディジェスティフ。
ディジェスティーヴォ(消化促進)の意味があります。
たっぷりおいしい料理、チーズ、スイーツをいただいた後に、消化を助け、会話を楽しむひと時を与えてくれ、今宵の晩餐を満足度の高いものにしてくれます。おもてなしや接待はデザートとコーヒーで終了ではありません。大人のおもてなしならばぜひ食後酒を。
ま、男性陣ならば、デザート食べてお会計して、二次会で女性とともにウイスキー(最近は焼酎も多い)という手もありますけどね。