〜友田晶子の“新”ラク学講座〜

フルコースの締めに、カフェオレ、カフェラテ、カプチーノはNG

2016.03.21

 

チーズもデザートも堪能した後、フルコースの締めをくくるのはなんといってもコーヒー。身も心も満足満腹の状態で出される一杯のコーヒーは、さらなる充足感をもたらしてくれます。こうばしい香り、心地いい苦味、すっきりとした酸味、そして魅力的な食事と会話の余韻を彩ってくれます。
などと書いているワタクシ、実はコーヒーが苦手でした。初めておいしいと感じたのは、十分に大人になったころ、ワインの勉強を目的にフランスに行った時でした。それ以前は、もちろん飲んだことはありましたが決しておいしいとは感じなかったのです。味覚が子供だったせいもあるでしょうし、田舎にはおいしいコーヒーが少なかったのだと思います。インスタントコーヒーは子供ながらに本物の味ではないんだろうなと感じていました。
フランスで飲んだコーヒーは、今まで福井や東京で飲んだ、そう、アメリカで飲んだものとも違う、まったく別ものでした。ますは、量がうんと少なく、超小ぶりのカップに入っています。色は黒っぽく濃く、香りが強い。トロリと粘りもあります。味わってみると苦いのですが、なにか旨味のようなコクのような甘いような酸っぱいようなクリーミーなようなさっぱりしているような、なんとも複雑な味わい。しかしそれでいてどこか安心するような、そしてもう一杯ほしくなる後味の良さがありました。ほぉ、これがコーヒーというものかと驚きました。
また、これに濃厚なミルクを入れると滑らかさとともにコーヒーの深みも消えず、とてもいいバランスでおいしいこと。なるほどコーヒーとは素敵なものなのだとわかったのです。パリジェンヌをまねしてクロワッサンをカフェ・オ・レに浸して食べてみたりもしました。
フランスの後に行ったイタリアでは、フランスのコーヒーよりももっと小ぶりのコーヒーでこれまた驚きましたが、より濃厚でより凝縮した味わいがあって、これまたおいしいと仰天。これにミルクを入れると濃厚さの相乗効果で感動の味わいでした。これが機になって日本でもコーヒーを楽しめるようになりましたし、最近の日本のコーヒーブーム=サードウェーブも興味深いものだと感じています。

 

さて、コーヒーの楽しみにもいろいろなルールがあると思います。
フルコースでのコーヒーのたしなみとして、ここまでのコラムで説明しましたように、本来コーヒー(紅茶もハーブティも)はデザートの後です。
また、ここでの大人ルールは、カフェ・オ・レやカフェ・ラテやカップチーノを頼まないことです。ましてやキャラメル・マキアートでもありません。要はミルクたっぷりのコーヒーはフルコースの後には向かないということです。これらは朝に向く飲み物(昼もありでしょうが)。
たっぷりのフルコース食事の後はやはりエスプレッソです。もちろんお好みでミルクや砂糖を入れても構いません。イタリアン・エスプレッソは砂糖を入れてこそ本当の味わいなどとも言いますし。ただし、フレンチもイタリアンもかなり脂分の多い食事ですし、たっぷりの甘味が含まれたデザートのあとでもあります。砂糖入りミルク入りのコーヒーは日本人の舌には少々重いのではないかと感じます。

 

カフェ・オ・レとカフェ・ラテとカプチーノの違い

カフェ・オ・レとカフェ・ラテとカプチーノの違いがよく語られます。ドリップコーヒー+温めたミルク(5:5)がフランスのカフェ・オ・レで、エスプレッソ+温めたミルク(2:8)がイタリアのカフェ・ラッテで、ミルクがスティームで泡立てたものを使うとカップチーノになるなどと言われます。しかし、フランスのドリップコーヒーはかなり濃厚ですし、エスプレッソを使うことも多いので、この説明が正しいようには思えません。また、イタリアで日本式に「カフェラテ」といってもうまく通じないでしょう。正しくは「カッフェ・コン・ラッテ」と言わなければいけませんし、むしろ「カッフェ・マッキアート」がミルクコーヒーに近いものが飲めるはずです。

 

ダブル・エスプレッソははたしていいのか?

さらに、通常のコーヒー(エスプレッソ)は量が少なく、物足りなく、テーブルで間が持たないといわれることがあります。お店ではそういう方のために倍の量のダブル・エスプレッソ/エスプレッソ・ドッピオを用意しています。しかし、そもそも、エスプレッソが少量である理由は、淹れたてのおいしいところを2~3口の飲むためです。大ぶりの入れ物に入れゆっくり飲むべきものではないのです。もし物足りなかったら、小ぶりのものをお代わりするほうが理に適っているかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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