前回はお寿司のおいしい食べ方順番を考えました。ここでは、お寿司とお酒についてみていきましょう。
昔は、お寿司屋さんでお酒といえば、ビールの後はおおむね一つの銘柄を最初から最後まで飲んだものです。
「うちはこの銘柄一本でして」などという板長が多かったです。これ、「それが流儀」というわけでは全くなく、実はあれ、単にお店で取り扱う日本酒の種類が少なかったためなのです。ほら、お寿司屋さんの看板に大手酒造メーカーの名前が入っているのを見たことありませんか? 徳利やグラスにメーカー名が入っているの、見たことあるでしょう? あれはメーカーさんに協賛してもらっていたから。なので、他の銘柄をあれこれ置くわけにはいかないという大人の事情があったからです。
最近は、様々な銘柄を置くお店が増えてきましたから、お酒もネタの流れに合わせて楽しみたいものです。
どうしたらいいか。
実は簡単。
フレンチの流れ、お寿司のおすすめの食べ方順番と考え方は同じです。
つまり、軽いものから重いものへ、冷たいものから温かいものへが基本です。
最初は、のどの渇きをいやすために、冷たくあっさり軽快なタイプを。スパークリング清酒ももちろん素敵ですし、生酒系もいいでしょう。もちろん“とりビー”もあり。焼酎ならソーダ割り、つまりチューハイってことにもなりますね。レモンチューハイやグレープフルーツ割りなど一杯目にはぴったりです。次に華やかな香りのある吟醸系をやや冷やして。最近はたくさんの純米吟醸を置いている店が増えました(純米吟醸ばかりで少々飽きるということもありますが)。焼酎ならオンザロックを。その次にはすっきり系の本醸造をお燗で行きましょう。焼酎ならお湯割りです。お寿司は温かいお酒にもよく合うのです。そのあとは米の旨味が感じられる純米酒をヌル燗でゆっくりと。焼酎ならイモ焼酎の前日割りお燗が似合います。甘い卵焼きとも好相性です。最後のアナゴにはできれば熟成酒を合わせたいところ。ま、置いているお寿司屋さんはまだまだ少ないのですが…。焼酎ならば樽熟タイプを。香ばしさの相乗効果を楽しめます。巻物のころには、お酒をやめて温かいお茶をおすすめしましょう。さっぱりと終えるのが江戸前寿司の締め方です。
こんな風に細かくお酒を合わせて楽しませてくれるお寿司屋さん、残念ながらまだまだ少ないです。
おもてなしの時には、ホストがきめ細かに注文をすべきでしょう。
でも、お店側がメニューの書き方や品ぞろえ、提案手法を少し工夫すれば、無理なくできることでもあります。お寿司とお酒くを上手に連動させて楽しませてくれるお寿司屋さん、増えるといいなぁ。
ああ、でも、想像しながら書いていたら、お寿司食べたくなっちゃいました・・・。