〜友田晶子の“新”ラク学講座〜

温かくして美味しいお酒、日本酒をおいて他にないでしょ~

2016.12.29

 

今月は温かくして飲むおいしいお酒をご紹介してきました。
ホットカクテル、ホットワイン、焼酎お湯割り&お燗。
どれも寒い冬には身も心も温まるお酒ばかり。
でもでも。
温かくして美味しいお酒の際たるものは、やっぱり日本酒でしょう。
米から造られる日本酒は、ご飯同様、温かくして美味しい飲み物なのです。
一言でお燗といっても実はいろいろあります。
日向燗は30℃、人肌燗は35℃、ヌル燗40℃、熱燗45℃、上燗50℃と呼び名もいろいろあるのが楽しいですよね。
一般に、ぬるめのお燗は純米酒や生もと、山廃といったしっかりとコクのある米の旨味が感じられるタイプがお奨めです。熱めのお燗は、本醸造や普通酒、軽快なタイプのスッキリしたタイプがお奨めとなります。通はヌル燗と言いますが、いえいえ、しゃきっと熱めのお燗もおいしいものです。

よく「新酒」や「生酒」「生貯蔵酒」「生詰酒」、さらに「濁り酒」、泡のある「活性性酒」はお燗にしてはいけないのか?と聞かれます。
お燗にしてはいけない酒は、基本ありません。
なので、そういったタイプのお酒をお燗で飲んでも構わないのです。
さらに、これらのタイプをお燗にするとコクや滑らかさ、後味のドライ感などを楽しめ、冷たくして飲むのとはまた一味違った印象になります。また、お燗上手の居酒屋さんに行くとこれらのお酒を微妙な温度調整で、見事花開かせてくれるお燗のプロもいます。そんな時は、日本酒の奥深さ、サービスの技に感動しますよね。

でもでもでも・・・。
これらは本当はいずれも爽やかな味わいが身上です。まずは冷酒で味わってから、その後変化球のお燗を飲むようにしたいと私は思っています。

 

アツアツのお燗でおいしい飲みお方としては、ヒレ酒があります。
干した河豚のヒレを香ばしくあぶって超熱燗を注ぎ、マッチで火をつけ、ちょっとアルコールを飛ばして、まるでお吸い物のようにずずっと行きます。ヒレの香ばしさと河豚の高級感がおいしさを倍増させてくれます。河豚でなくても小魚や魚の骨を香ばしくあぶったものを使うこともあります。「骨酒(コツサケ)」と呼ばれます。
贅沢なお燗といえば、カニの甲羅酒もあります。味噌たっぷりのカニの甲羅にお酒を注ぎそのまま下から温めます。炭火ならなお贅沢。わがふるさと越前ガニならもっと贅沢です。また、カニの産地ではカニの足を干したものをあぶってお燗酒に入れること路もあります。これまた蟹好き、日本酒好きにはたまらない飲み方です。

ヒレ酒や骨酒、甲羅酒は「安酒がいい」「よくない酒で作るのだ」などと言われますが、決してそうではありません。いいお酒で作ればいいお味になることに間違いはありません。吟醸なら吟醸らしい華やかさが、純米なら純米らしい旨味とコクがありますから。しかし、洋酒や焼酎、ワインのお燗にはハーブや果物、ナッツ類、蜂蜜などの甘味調味料を使いますが、日本酒の場合は、魚介が多いのが面白いところです。日本酒の強みななんといっても魚介の生臭みを消し、魚介ならではの美味しさを引き出してくれるところ。

それぞれのお酒の個性を生かしたお燗酒、楽しみたいものです。

 

 

 

 

 

 

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