〜友田晶子の“新”ラク学講座〜

外国人に、日本ワインは受け入れられるか

2017.01.12

今、日本ワインは急成長を遂げています。
大手ワイナリーは商品のバラエティがひろがり、世界市場で勝負できるグローバル品種のワインから、家庭で毎日楽しめる超カジュアルワインまで様々なニーズにこたえてくれるようになりました。小規模ワイナリーや家族経営ワイナリーからは、その土地や造り手の個性にあふれた商品が生み出されていますし、あらたにワイナリー経営を始める人たちも増えました。なんといっても日本ワインの代表品種である甲州やマスカットベリーAは輸出も始まっていて、世界のレストランのワインリストに名前が載るようになりました。私がワインの勉強を始めたころ(かれこれ30年前)には考えられなかった状況です。なにせ、当時の甲州といえば甘酸っぱくて味気ないお土産ワインがほとんどで、正直、とても食指の動くワインではなかったからです。

そんな急成長中の日本ワイン、海外では受け入れられるのでしょうか。また、海外から日本にやってくる外国人に受け入れられるのでしょうか。海外で日本ワインの話をすると「日本でワインを造っているの?」と聞かれます。ワインに興味がある人や日本に興味がある人は、日本ワインの存在は知っていますが、どうしても飲みたいという強い思いは残念ながらまだ多くはないようです。フランス在住の女性ソムリエに日本ワインを飲ませたところ、「驚いた、すごく品質がいい」と評価してくれますが、驚かれるくらい日本ワインの良さが知られていないのが現状です。

 

では、日本ワインの発信はどうしたらいいのでしょう。
ポイントは和食との組み合わせにあると感じます。和食が世界遺産になって以来、海外での和食人気は目を見張るものがありますし、訪日外国人の興味はダントツ「和食を食べること」にあります。ここで、日本ワインを提供しないでどうしますか、ですよね。
また、日本ワインが料理に合うという大きな理由もあります。それは、日本ワインだと和食、とくに魚介、とくにお刺身の生臭みを引き出しにくいからです。ワインの教科書にNG組み合わせとして必ず書かかれる「魚卵とワイン」は、極めつけに生臭い組み合わせです。が、魚卵は和食に欠かせません。さらに、エビやイカも実のところかなり生臭い。一度試してみてください。え、フランスやイタリア、スペインなどワインの国でも食べるじゃないかって。はい、食べます。しかし、かの地では、たとえばオリーブオイルやバター、クリームなどなにかしら脂分をプラスされています。それらが仲介役になるとワインと合わせても生臭みが感じられないのです。和食のメインともいえるお刺身は、素材そのものを食べるのでワインと一緒だとかなり生臭みが出るのです。生臭みの原因はワインに含まれる「鉄分」。欧米のワインはとくに鉄分が豊富といわれていますので、生臭みは相当なものです。

ここで、日本ワインの登場となります。日本ワインは比較的鉄分が少ないといわれていますし、なかには生の魚介に合わせる鉄分の少ないワインも発売され始めています。日本ワインだと和食界の大スターでもあるお刺身を安心して食べられるというわけです。それに、和食にはやはり日本ワインというストーリーもありますしね。海外の和食店の皆さま、海外からお客様をお迎えする皆さま、和食、特にお刺身の時こそ日本ワインを堪能してもらうチャンスです。

日本ワインを愛するSAKE女の皆さま、ぜひ、急成長中の日本ワイン、ぜひ海外の方々に楽しんでもらえるように日本人魂炸裂で紹介しちゃましょう。

 

 

 

 

 

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