ビールの値段が変わるそうです。
はい、安くなるのです。ビールファンにはうれしいニュースですね。
昔から「税金飲んでいるようなものだ」とビールファンの口からよく聞かされたものです。そう、ビールに含まれる税金は思いのほか高いのです。それを危惧したビールメーカーは、いかに安く、ビールを楽しんでももらえるかを考え、税金が高くつく麦芽使用量に目をつけ、麦芽を使わずともにビールに近い風味を楽しめる商品を開発しました。それが、発泡酒や第3のビールです。さすが大手の技術、日本の技術です。現に今は、ビール系飲料市場の15%が発泡酒、35%が第3のビールだといわれています。
だけど、だけど・・・。
お国も考えます。ますます増えるビール系飲料からいかに税金を取るか・・・。
現在、350㎖缶のビールには77円が、発泡酒には47円、第3のビールには28円の税金がかかっています。2013年ごろからこの金額の改正案は出ていたといいますが、とうとう2016年秋の酒税改正議論でビール類の酒税の見直しを進めることが決まりました。
それによれば、2020年10月から3段階でじわじわと税率を変え、2026年に350㎖缶当たり、すべてのビール・ビール系飲料の税金を55円程度に統一するというのです。結構時間をかけますが、結果、つまりビールは安くなり、発泡酒と第3のビールは高くなるわけです。ビール党にはありがたく、節約派にとっては厳しい状況になります。当然ですが、ビール系飲料の消費は減少するはずです。安く楽しんでもらうために開発してきた業界の技術の歴史はいったいどこにいっちゃうのでしょうかね。
さらに、2018年4月よりビールの定義が変わります。
今までは輸入ビールなどで麦芽以外の材料が入っているものは発泡酒の扱いになっていましたが、これらがビールと呼べるようになるのです。
●麦芽比率を50%以上に変更する(現行は67%以上)
●ビールの原料に以下のものを追加する(麦芽の5%以内)
「果実(果肉・果皮)」「一定の香味料」
ベルギーのホワイトビールなど、オレンジピールやコリアンダーが使用されていて、実にフルーティーで爽快な味わいですよね。でもあれ日本では「発泡酒」だったんです。世界的には「ビール」にもかかわらず。ま、酒税法上の呼び方なんて実のところなんでもいいんですけどね。おいしいことに変わりはないのですから。
さて、この酒税改正で、ビール大手4社はどういう方向に向かっていくのか興味のあるところです。ちなみに、ビール大手4社の「ビール:発泡酒:第3のビール」の製造割合をご存知でしょうか。
以下がその割合。
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ビール:発泡酒:第3のビール |
アサヒビール |
63:10:27 |
サッポロビール |
59: 3:32 |
キリンビール |
37:28:35 |
サントリー |
35: 0:65 |
意外ですか?
それともイメージ通りですか?
この比率からすると、ビール製造の多いメーカーが当然割りがいいということになりますね。ですが、この変化を見据えて、メーカーさんも考えることでしょう。さて、どんな風に変化していくのでしょうか。お酒ファン、ビールファンとしては見逃せない数年になりそうです。