女性のワインプロフェッショナルが審査する「フェミナリーズ・世界・ワインコンクール」の審査会が近づいてきました。今年から日本ワインが出品されています。さて、世界の女性ワインプロからどのような評価がもらえるか、とっても気になるところです。
では、日本ワインの魅力とはいったいなんなのでしょうか。いや、そもそも日本ワインってなんなのでしょうか。ここで、まずは日本ワインの定義を見てみましょう。
●日本ワイン
日本国内で栽培されたぶどうを100%使用して日本国内で醸造されたワイン。地域で育てたブドウを85%以上使用した場合に限りその産地名をラベル表示できる。たとえば、「勝沼甲州」、「塩尻メルロー」、「かみのやまシャルドネ」・・・など。
これに対して「国産ワイン」という表示もあります。
●国産ワイン
海外から輸入したぶどうや濃縮果汁を使用して国内で製造されたワイン。日本ワインに関する法律で、2015年10月国税庁により策定され、2018年10月から完全施行のようです。
ちなみに、輸入ワインと国内ワインの比率は70:30、国産ワインと日本ワインの比率は80:20なので、実に日本の全ワインの中で「日本ワイン」は僅か6%にしか過ぎないのです。
日本ワインの歴史は明治以降から約150年ほど。4000年前からとも6000年前からともいわれるワインの世界史からするとあまりにも短い歴史です。また、日本で一般的にワインが飲まれるようになったのは、前回の東京オリンピックや大阪万国博覧会のころから。80年代後半のバブル期以降に輸入ワインが増え、その後お手頃ワインが造られはじめ、今のようにスーパーやコンビニでワインが気軽に買える時代となりました。早いですねぇ、進化。
この短い日本ワインの歴史の中でも積み上げられた技術があります。そこから生まれる日本ワインの魅力とは、なんなのでしょう。一言で言えば「繊細さ」「奥ゆかしさ」「やさしさ」といったイメージではないでしょうか。
日本でも一時期は、欧米の濃醇なフルボディの格付けワインを真似して、渋くて濃くて重厚な味わいで樽香ばりばりのワインが造られた時もありました。しかし、様々な経験を経て今求められているのは、「繊細さ」「奥ゆかしさ」「やさしさ」であることに造り手も飲み手も気が付き始めました。
これはひとえに和食のイメージ、ひいては日本人そのもののイメージとも重なります。和食が持つ、素材の良さを生かした繊細でやさしく、華やかではないけれどその奥底にある深い味わい、そして長く続く余韻。日本ワインは和食とばかり合わせるわけではないですが、それでも和食との相性がすこぶるいいのは、ワインと料理に同じ方向性を持つ味わいがあるからなのです。
しかし果たして世界ワンコンクールで、世界のソムリエからこの魅力が認知されるでしょうか。いまだに世界的には、インパクトのあるわかりやすい味わいのワインの評価がやはり高いのです(現にワインコンクールで入賞する日本ワインはそういったタイプのワインが多いのが事実)。
今回のフェミナリーズ・世界・ワインコンクールは女性のワインプロが審査します。女性だから優しいワインが好きとは限りませんが、繊細さや奥深さはもしかしたら男性プロより評価がたかいかもしれません。さて、結果はどうなるか。リポートお楽しみに。