世界的に人気のシャンパーニュ、ワインに詳しくなくても知っている名前です。でも、このスパークリングの名前を知っている人はかなり少ないはず。これを語れれば、あなたも間違いなくワイン通、スパークリング通です。
そのスパークリングの名前は、「ブランケット・ド・リムー/Blanquette de Limoux」。
聞いたことありますか?
南フランス、観光地で知られるカルカッソンヌ近くの「リムー村」周辺がこのスパークリングの産地です。乾燥して暑いこの地域はブドウも完熟し甘くなります。糖分がたっぷり含まれたブドウからワインを造りますが、発酵が続いている途中で瓶詰めし、残りを瓶内で発酵させることによって、スパークリングならではの泡が生まれます。完熟ブドウだからこそできるナチュラルな伝統手法です。
実は、このブランケット・ド・リムーの発祥は、なんと1531年。サン・ティレール修道院でボトルのワインが発酵し、泡立っているのを修道士が偶然見つけたのが起源とされます。17世紀にドン・ペリニヨンが発見したシャンパーニュよりも1世紀早く、「世界最古の発泡性ワイン」とも言われているのです。
シャンパーニュは、いったん発酵したワインに糖分と酵母を添加して、瓶の中で二次発酵を起こし、きめ細かい持続性のある泡を生み出しますが、このブランケット・ド・リムーは、ブドウの甘味だけで勝負します。
シャンパーニュとは違うので、ラベルには、「メトード・シャンプノワーズmethode champenoise/シャンパン方式」ではなく、「メトード・アンセストラルmethode ancestrale(古代・伝統・伝来)とか「メトード・リュラルmethode rurale(田舎風)」と書かれます。ちなみに、メトードとは、英語のメソッドのことですね。
フランス料理胃がお好きな方は、仔牛、仔羊、鶏肉のホワイトソース煮込みの名前だと思うかもしれません。もともとは、ブランケット(Blanquette)というのはフランス語の白=Blanc(ブラン)から派生した語で、白い料理、白い色合いのという意味。グラスに注ぐ泡が白くクリーミーなところから名づけられたのかもしれません。
また、バスク語で「炭酸が入った飲み物」の意味もあるそうです。
品種は、白ブドウ品種のモーザック(この土地ならではの品種です)、シュナブラン、シャルドネ。アルコールが6~8%で優しい味わい。ちょっとシードルに似たような味わいで、リンゴジュースのようなニュアンスを感じます。また、ボトルごとに微妙に味わいが異なるところも面白みです。
どうです?
ちょっと難しい感じもしますが、味わいはいたってシンプルで、お値段もお手頃。シャンパーニュよりも古い歴史を持つ南フランスのスパークリングなんて、ちょっと興味ありません?