〜友田晶子の“新”ラク学講座〜

晩餐会ではなく、ワーキングディナーだった伊勢志摩サミット

2016.05.30

 

伊勢志摩サミットが閉幕しました。
サミットなどの世界的に大きな会議やイベントで気になるのは「晩餐会」です。
世界の首脳が介する政治や経済会議の場で、料理とワインが供される晩餐会はいつも重要な役割を果たしてきました。ホストは自慢の食材でおもてなしをし、ゲストとの懇親を図ります。格付けがはっきりしているワインの提供は、セレクトによって政治をも左右するとさえ言われています。また、晩餐会で提供された食材やお酒は広く情報発信され、世界からの注目を浴びます。

記憶に新しいのは、九州・沖縄サミット。九州・沖縄を中心とした環太平洋の食材をふんだんに使用した華やかでヘルシーな料理に、田崎真也ソムリエコーディネートの、首脳八か国のブレンドワインや首脳陣の平均年齢に合わせてブレンドされたスペシャル古酒が提供され話題となりました。さて、このたびの伊勢志摩サミットではどのような演出がされるのかと興味津々でした。

ですが、今回のサミット、晩餐会は開催されなかったのです。
会議のテーマが非常に実務的であったことが理由のようですが、どうやら、これまでの豪華な晩餐会に批判が高まっていたようなのです。

 

松坂牛や伊勢海老、アワビを食べながら、指導者は考える?!

くだんの沖縄サミット開催後に、「まるで宴会サミット」(タイムズ紙)、「蟹やキャビアを最高級ワインで楽しんだ首脳たちが、債務軽減問題を真剣に考えなければ、何百万という人々が国内外での圧制と外国の無理解に苦しみ続けるだろう」(サンデー・タイムズ紙)、「過去のサミットを上回る約800億円という多額の開催費用があれば貧困国の1200万人の子供を学校にやれるのに」(NGO幹部の声)といった報道があったそうです。
またその後の洞爺湖サミット開催時にも「キャビアやウニを食べながら、指導者は考える」(インデペンデント紙)、「食糧不足と食糧価格高騰を丸一日議論したあと、首脳は空腹をもちこたえられなかったようだ」(ガーディアン紙)などと、議題と晩餐会のギャップを報じられたのだとか。
その後、イタリア・ラクイラ・サミット以降は晩餐会そのものがなくなったのでした。
世界には食糧問題や貧困問題に直面している地域もあります。そもそも世界の中のたった7か国の代表が集まって話し合うことでそれらの問題が解決できるとは思えません。が、定期的に集合し、会議をし、ディナータイムにはおいしいものを食べて飲み、ゴージャスなホテルに滞在します。妬み・・・とは言い切れないでしょうが、批判が集まることも想像にかたくありません。

しかし、サミットの開催地はいずれも長い歴史と人々がその地ではぐくんできた文化の深い場所が選ばれます。世界中に発信されるサミット議題とともに開催地の歴史や文化も世界が注目するのです。美しい自然やおいしい食事やお酒があれば、旅行で行ってみたいと思う人も増えるはずです。
日本が誇りとする伊勢志摩の自然と歴史と文化、そして自慢の食材とお酒を、私たちは世界中の人に知ってもらいたいと思っていました。むやみに豪華にしなくても(とはいえ、伊勢志摩は松坂牛伊勢海老アワビなど高価な食材が多いのですが)、簡素でシンプルでもいいものを丁寧に心を込めて提供すれば、魅力は世界中に広がります。サミットにはそういった効果があるのです。
晩餐会=豪華とは限りません。晩餐会の目的は、お客様をお招きして、食事やお酒をともにし交友を深めることにあります。仕事をしながらの食事=ワーキングディナーでは、交友を深めることも、突っ込んだ仕事の話も、どちらも中途半端になってしまうのではないかと閉幕した今ちらり想像をしてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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